通夜の服装は、男性は黒の略礼服が多くなりました。また黒っぽいスーツを着ている人も見かけます。これは通夜は急いで駆けつけるという意味もあって失礼にはなりません。
女性は黒っぽいワンピースかツーピース。和装なら紋つき羽織を着けています。
遺族や近親者、世話役代表(葬儀委員長)は、正式の喪服を着用しますが、その他の一般弔問客は略式の喪服でよいでしょう。略式の揚合、男性はダークスーツに黒ネクタイ、黒の靴下でよいでしょう。
女性の場合、黒のワンピースかツーピース。和装なら黒の一つ紋の着物、帯やハンドバックなども黒の物を用います。アクセサリーはつけませんが、真珠ならかまいません。
喪章は、遺族が喪に服していることを示すものですから、世話役などで喪家側の人間としてお手伝いする場合にはつけますが、一般の会葬者は着けません。
男性の場合、ブラックスーツを着用すれば、喪服として間違いありません。女性の場合もブラックフォーマルコーナーで購入したものであれば問題ありませんが、手持ちの服で間に合わせる際には迷うことがあるかもしれません。 その際に注意することとして、次の3つをあげておきますので目安にしてください。
(1)光沢のあるもの、透けるものは避ける。
(2)夏場でも袖のないものは避けて肌の露出を控え、シンプルなデザインのものにする。
(3)ブラウスを着用する場合、黒にする。
葬儀という式に参列するのですから、それなりの礼節を保ちたいものです。
学生は、男女ともに制服が喪服となります。なければ黒または地味な服装(グレーなど)でも良いでしょう。靴は黒、靴下も黒か白いものを使用します。また真夏には、男子なら白のシャツに黒ズボンと黒靴、女子なら白のブラウスに黒のスカート、黒靴がよいでしょう。
通夜には喪主や遺族も正式喪服ではなく、略式にしています。男性は黒のスーツに白のワイシャツ、黒のネクタイと黒の靴下です。和装では少なくなってきましたが、黒っぽい無地の小紋の着物に、一つ紋か三つ紋の羽織、袴をつけます。
女性の場合は黒無地のワンピースまたはツーピース。和装なら、黒無地か地味な無地のものにします。
和服の場合、黒羽二重の染抜き五つ紋付きに羽織袴で、慶事と同じ装いです。袴は仙台平で、帯は角帯。下着の衿は羽二重で、白、ねずみ色などを用います。下着の衿は弔事には重ねません。足袋は白が正式ですが、地方によっては黒が用いられています。
洋装の正式喪服は、黒のモーニングに黒のネクタイです。チョッキはシングルで、上着と共地です。ズボンは縞柄で、裾はシングルです。モーニングは昼間の礼装ですので、通夜では黒のスーツがよいでしょう。
和装の場合、関西では地紋のない縮緬、関東では羽二重に染抜きの五つ紋をつけた黒の無地が正式とされています。夏の喪服は、あわせと同じ五つ紋付きの黒無地で、六月と九月がひとえ、七、八月は絽が正式とされていますが、最近では六月から九月まで絽で通すことが多いようです。帯は、絽か紗の黒の名古屋帯が一般的です。
洋装の正式喪服は、黒無地のワンピース、スーツ、アンサンブルです。ボタン、バックルは、共布か光沢のない共色にします。黒は飾りのない黒のパンプスが正式です。アクセサリーは結婚指輪以外はつけないのが本来です。
キリスト葬の場合には、男子の正式喪服はモーニングとなっています。ネクタイは黒、手袋は黒か灰色です。女性の場合には黒色が正式ですが、カトリックに属している方は黒かそれに近い色のベールをかぶります。
忌明け法要などには、喪服に近いものを着ますが、一周忌、三回忌と回を重ねるにしたがって、喪の表現は少なくしていくのが一般のしきたりです。
一般的には地味な平服で差し支えありません。男性はダークスーツにネクタイ、靴下も派手なものでなければ、黒にそろえる必要はありません。女性は、色無地の着物に黒帯か、洋装なら黒でなくとも、地味なワンピースやスーツならよいでしょう。アクセサリーは目立たないものにします。
おおよそ三回忌までは略式喪服を着るようにするのが無難でしょう。
※ホテル、料亭で法要を行う場合には、地味なスーツで出席する人がふえてきました。
喪服は凶服ともいわれ、父母・妻子、親戚等の「忌服」の間は、喪服を着ることが定められていました。「忌服令」にある「服」とは喪服を着るべき期間のことで、服者は神事に携わることは禁じられ、また公事にも参加できませんでした。服喪期間がすぎて、これを脱ぐことを除服といい、河原や門前で行ないました。このように、もともと遺族のみが喪服を着ることが義務づけられており、一般会葬者は喪服を着る定めはなかったのですが、大正後期から、一般会葬者も喪服を着用するようになってきました。また遺族も喪の期間を通して着服することはせず、葬儀の時にのみ喪服を着るように変わってきました。
数珠は葬儀や法事などの仏事に持参するもので、一般に一連、単念珠が多く用いられています。
材質は透明な水晶や色の美しい珊瑚、渋い色の香木などがあります。
普通数珠は、持っている場合左手首にかけるか、房を下にして左手で持ちます。合掌の時には、両手の親指以外の指を輪の中に入れ、親指と人差し指で支えるようにします。自分とは違う宗派の葬儀に出席する場合にも、自分の属する宗派の数珠を持参しているようです。
宗派によっても数珠の形が異なりますが、略式のものなら、各宗共通に用います。真言宗の念珠は振分数珠と呼ばれ、八宗用に用いられることがあります。浄土宗の念珠は、仏名を数えながら数珠をくりますので、二つの輪違いに丸かんがついています。一般信者用としては、片手数珠が多く用いられています。日蓮宗の念珠は、読経唱題の数を記憶するために、百八個の数珠を用いることを勧めています。
市販の数珠には男性用と女性用があり、珠の大きさや色が違っています。本来数珠は僧侶が仏事に使用するもので念珠(ねんじゅ)ともよばれます。現在では材質、珠の大きさなどの違いで男性用、女性用に分けられています。素材としてはお釈迦様が菩提樹(ぼだいじゅ)の下で悟りを開いたといういわれからか、菩提樹の実が一番いいものとされていますが、現在は男性用には黒檀(こくたん)が一般的です。また女性用は男性用に比べ珠は小さく、琥珀(こはく)、瑪瑙(めのう)、白珊瑚(しろさんご)、水晶、真珠、象牙などが用いられています。
合掌するときは数珠を両手にかけ、親指で押さえるのが一般的です。焼香の時手のひらの中で数珠をこすりあわせますが、これは浄土宗では禁じられています。また浄土真宗の二輪で長房の数珠を使用する場合には、二つの親玉を親指の所ではさみ、房は左側に下げて合掌します。
数珠は古来ヒンズー教のバラモンが儀礼用に用いていたもので、現在もヒンズー教徒の間で用いられています。その後、密教僧が用い始め一般仏教徒も用いるようになりました。数珠は「念珠」ともいい、念誦する題目などの数を記憶するために用いられました。念珠の珠の数は、人間の百八の煩悩を表しています。従ってもとは百八個の珠をつないでいましたが、百八では長すぎるので、2~4分の1に省略して用いられています。日本に数珠が入ってきたのは天平8年(736年)、天竺僧の菩提仙那が来朝の際、天皇の献納品の一つであったといいます。
香典は葬儀に出席する場合に、香典袋に入れて通夜、あるいは葬儀の時に持参します。香典金額については、身上の者に相談したり、あるいは最新のデータなどを取り寄せて参考にするケースが多いようです。
地味な色の袱紗(ふくさ)に包むようにします。袱紗は、直接ポケットやバッグに入れても、香典袋が折れたりしわにならないようにするためです。台付袱紗で台の色が赤いものは慶事用ですので、気をつけましょう。袱紗に包むときは、つめを左側にして中央に香典をおき、右、下、上の順にたたみます。
香典は袱紗に包み、受付で表側を上にして開きます。そして香典は表書きの名前を相手側に向けて差し出します。そのあと会葬者名簿に記帳します。 通夜などで受付が設けられていない場合には、祭壇に供えます。その際香典の表書きはこちら向きになるように置きます。通夜と葬儀両方に出席する場合には通夜に持参します。
香典袋を折る場合には不祝儀袋ですので、左手前に折るのが正式です。裏面は上側が下の折られた紙の上に重なるようにします。香典に用いるお金は、あらかじめ準備してあったことを嫌い、一般的に使用したお札を使いますが、新札を使う場合は、一度折り目を入れて用います。
香典を郵送されるときは、現金を不祝儀袋に入れ、お悔やみ文を同封して官製の現金封筒に入れて送ります。
香典は死者に香をお供えする代わりに、金銭を差し出すという意味がありました。また昔から葬儀の時には色々と費用がかかるため、地域の人が助け合う目的で米や食物などをお供えし香典としました。香典の「典」は本来は尊い書物(仏典など)の意味があり、香奠の「奠」の字は神仏に物を供えて祀るという意味があります。
香典のお返しは49日の忌明け法要のあとに、忌明けの報告とお礼をかねて行います。現在では当日にお返しすることも多くなりました。その際には香典額の2分の1から3分の1くらいの品物を、礼状を添えてお返しするのが一般的です。
香典返しの商品は、シーツ、バスタオル、ハンカチ、緑茶、石鹸、椎茸、コーヒーセット、砂糖など、どこの家でも使う日用品が主に使われています。
弔事用ののし紙に「志」と表書きし、その下に喪主の姓名を書きます。なお、香典返しを受けた場合には、それに対する礼状は出さないことになっています。
礼状には、奉書タイプとはがきタイプがあり、一般的にはあらかじめ用意されてある文例に名前、日付などを入れて印刷します。
文面には、会葬のお礼、忌明け法要を営んだ旨を述べ、それに香典返し品物を添えたことを記します。
謹啓
時下益々ご清祥の段 慶賀の至りに存じます
先般祖父 ○○○○ 死去の節は御鄭重な御弔詞を忝うし且つ霊前に過分の御供物を賜り 御芳情の程洵に有難く厚く御礼申し上げます
本日○ ○ ○ ○ ○ ○(戒名)七七日忌に際し供養の印までに心ばかりの品お届け申し上げました
御受納下さいますれば幸甚に存じます
早速拝趨の上 御礼申し上ぐべき筈の処 略儀ながら書中を以て謹んで御挨拶申し上げます
敬具
平成○年○月 ○ ○ ○ ○(喪主・氏名)
神式の50日祭での忌明けの香典返しには表書きに「偲草」とします。
キリスト式では表書きは「志」とします。挨拶文は、仏教用語を使用しないようにします。