(1)喪主が目下の人や親しい友人であっても、丁重な言葉遣いで、心をこめて書くようにします。
(2)季節のあいさつなどの前文は省略して、冒頭から弔慰の言葉に入ります。結語には敬具などとします。草々は単語が重なりますので使いません。
(3)自分方の消息などは書きません。
(4)遺族は悲嘆の中にあって、心も身体も普段とは違った不安定な状態にあります。そこで文章や言葉遣いには十分の心配りが必要です。またあまり感情的な表現には気をつけましょう。
(5)死を意味する「忌み言葉」を避けるために「隠れた」とか「逝った」などの表現を用います。また、「追って」、「重ねて」、「再び」などのほか、再び不幸が起こることを連想させる「いよいよ」、「しみじみ」、「重々」、「ますます」などの重ね言葉も使用しません。
(例1)
まことに悲しい通知をいただき、まだ茫然としているばかりです。
何とお慰め申し上げてよいか、言葉もございません。半年前に電話でお話をしたときには、「元気になったら一緒に旅行に行こう」と言われていただけに、このような結果になろうとは、人の世のはかなさが今さら身にしみる思いでございます。
お仕事では名誉賞を獲得され、これからの活躍が期待されていた時だけに、残念でなりません。近いうちに霊前にお詣りさせていただき、○○さんの思い出話などさせていただきたく存じます。
御心痛いかばかりかとは存じますが、残されたお子様方のためにも、御健康に留意されて、何卒強く生きて下さい。それは○○さんも望んでおられることだと存じます。
御仏前に、○○さんのお好きであった花でもお供え項きたく、心ばかりでございますが御花料を同封させて項きました。
失礼ながら書中にて、心より御冥福をお祈りいたします。
取引先の社長が亡くなった場合、時機を失わないようにお悔やみ状を出します。公的なお悔やみ状では、故人の功績をたたえ、さらに、慰めの言葉だけでなく激励の言葉を書き添えます。最後には、協力を借しまない旨の一文を書きます。「今後ともご指導ご鞭燵を…」のような文は避けます。
お悔やみ状を出すときには、季節のあいさつは省き、お悔やみと慰めの言葉を簡潔に記します。
(例1)
謹啓 貴社代表取締役社長○○○○様には、
ご逝去あそばされましたとの報に接し、誠に驚き入りました。貴社ご一同様のご傷心のほど深くお悔やみ申し上げるとともに、ご冥福をお祈り申し上げます。
ご生前中はことのほかご高配にあずかり、弊社が今日まで業績増大が出来ましたのも、ひとえに○○社長のお陰と感謝致しております。
皆様方には、どうか故人のご遺志を実現なされますようお祈り申し上げております。
微力ではありますが弊社も出来る限りの協力を惜しまないつもりでございます。
とりあえず、ご弔詞を申し上げる次第でございます。
敬具
(例2)
謹啓 貴社社長○○○○様には、心不全により急逝あそばされたとの報に接し、大変心を痛ませております。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
ご生前中には、とりわけご懇意にしていただきましたのに、なんら報いることが出来ず、ただ残念であります。ご遺族様はじめ、社内ご一同様のお嘆きのほどを拝察致しますと、お慰めの言葉もございません。
皆様により、故人のご遺業を推進なされますようお祈り申し上げる次第でございます。
同封の微、なにとぞご霊前にお供えいただけますようお願い申し上げます。
敬具
(例)
今朝の新聞で○○先生のご逝去を知り、驚きとともに深い悲しみで一杯でございます。
一ヶ月ほど前に病院にお見舞いに伺いました折は、たいへんお顔色もよく、来月は退院できるからと、先生みずから申されておりましたのに、未だに信じられない思いでございます。
思えば先生には、学生時代はもとより、卒業後も何かと親しくご指導賜わり、ときには親も及ばぬほど親身にご叱正をいただきました。ご恩返しもこれからというときに先生を失ったことは、本当に口惜しく残念でございます。
今後は、先生からいただいたご教訓を人生に生かして生きていくことがご恩に報いる道と思って頑張る覚悟でございます。
どうぞ奥様には一日も早く立ち直られ、ご健康で先生の分まで長生きをしていただきますようお願い申しあげます。
ちょうど本日より東北出張のため最後のお別れに参列できないのが残念でございますが、帰京次第ご霊前に参らせていただきます。
なお、心ばかりのご香料を同封いたしましたので、御霊前にお供えいただきたいと存じます。まずは、とりあえず先生の生前のお姿を偲びつつ、心からお悔やみを申し上げます。
(例1)
ご尊父様、昨日ご逝去の由承り、○○様のご悲嘆いかばかりかとご心中拝察申し上げます。
謹んでご尊父様のご冥福をお祈り申し上げます。
何をおいてもお伺いをしてお焼香させていただくべきところでございますが、私病気中のためご葬儀への参列がかないませず、申しわけございません。とりあえず書中をもってお悔やみを申し上げるしだいでございます。
お力落としとは存じますが、お体を損われることのこざいませんよう、ご自愛下さいませ。
なお、同封いたしましたのは、ほんの心ばかりのご香料でございます。
ご霊前にお手向けくださるようお願い申し上げます。合掌
(例2)
さきほど○○様より、御尊父様御他界のお知らせをいただき、とり急ぎお悔やみを申し上げます。平素は人一倍ご健康な方でいらっしゃいましただけに、ご家族の皆さまのお心のこもったご看病により必ずやご回復なさると信じておりましたのに、全く残念な思いで一杯でございます。御一同様のお悲しみ、ご落胆はいかばかりかと拝察申しあげております。
さっそく参上いたしましてお悔やみを申し上げますべきところでございますが、何分にも遠方のこととてそれも叶わず、不本意ながら書中をもちまして、謹んで哀悼の意を表し、ご尊父さまのご冥福をお祈り申し上げる次第でございます。
なお、心ばかりのご香料を同封させていただきましたので、御霊前にお供え下されば幸いに存じます。
(例3)
本日、電報にてご尊父様ご他界のお報せをいただき、とり急ぎお悔やみ申し上げます。
お手厚いご看護の中で、八十歳のご長寿を全うされての安らかなご最期とうかがいましても、ご肉親の情はまた格別、さぞかしお寂しいことと拝察申し上げております。
ここに謹んでご弔詞を申しあげ、ご尊父様のご冥福をお祈り申し上げます。
すぐにも参上の上お悔やみ申し上げるべきところでございますが、遠地のこととて叶いませず、時を改めて、ご霊前にお参りさせていただきたいと存じますのでお許しいただきたいと存じます。
なお、僅少ながら御香典を同封致しましたので、ご霊前にお手向け下さいますようお願い申しあげます。
(例)
お母上様ご他界の悲報に接し、なんと申し上げればよいのか、お慰めの言葉も見つかりません。
○○様はじめご家族の皆さまにお悔やみ申しあげますとともに、謹んでお母上様のご冥福をお祈り申し上げます。
お母上様には何度かお目にかかりましたが、お優しいなかにも凛としたところをお持ちの立派な方でいらっしゃいました。
もっと長生きしていただいて、もう一度お話を伺いたいと思いましたのに、ほんとうに残念でございます。
何分にも遠方のため、ご葬儀にも参列できませず、ご生前のお姿を偲びつつ合掌させていただきます。
なお、まことに些少ではございますが、心ばかりのご香料をご仏前にお供え下さいますよう
お願い申し上げます。
(例)
ご令閨様ご逝去のお知らせに接し、お悔やみ申し上げ謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
あまりにも突然のことに、ただ信じられない思いでございます。あのようにお優しい奥様を亡くされました○○様のご胸中いかばかりかと拝察申し上げ、お慰めする言葉もございません。この上は、お力落としのためにご健康を損われますことのございませんよう念じるばかりでございます。なお、同封いたしました心ばかりのご香典を、ご霊前にお供えいただければ幸いでございます。近いうちに改めてご焼香させていただきますが、まずは取り急ぎ書中にてお悔やみを申し上げます。
(例)
ご主人様ご急逝との悲しい知らせをいただき、申し上げる言葉もございません。
昨年秋にお宅へお邪魔いたしました折りには、元気な様子で四方山話などにおつき合いくださいましたのに、信じがたい思いでございます。
まだお小さいお子様を残されて、あなた様のご心中いかばかりかと拝察し、どうお慰めすればよいのか、ただただ胸が痛むばかりでございます。今は何を申し上げましてもお悲しみをますばかりでございましょう。
何とかお元気を出されて、と申し上げても無理なこととはわかっていながら、それでもいまは、ただご悲嘆のあまりお体をこわされませんように、お子様のためにもお心を強くお持ち下さいますようにと、ひたすらお願いすることしかできません。
すぐにも、あなた様のところへ駆けつけたい思いで一杯でございますが、それもかなわず、謹んでご主人様のご冥福をお祈り申し上げ、あなた様のご自愛をお願い申し上げます。
(例)
○○さまには、お手厚い看護の甲斐もなく、昨14日未明、逝去されました報に接し、ご家族様のご心中を思い、申し上げる言葉も見あたりません。謹んでお悔やみを申し上げます。
皆様の看病の甲斐なくお亡くなりになりましたこと、残念でなりません。ただ最後にはお苦しみもなく安らかに逝かれましたと伺い、救われた思いがいたしました。
ご家族の皆様方は、どんなにかお嘆きのことでしょう。ことにお母様がどんなにおつらい思いをしておられるかと思いますと、本当に胸が痛みます。お力の限り最善を尽くされたのでしょうが、とてもおあきらめられない気持ちでございましょう。
今はただ、○○様のご冥福をお祈り申しますとともに、お母様をはじめ皆様方が、ご悲嘆のあまりお体を損われることのないようにと祈るばかりでございます。
いずれ近いうちに上京し、ご霊前にお参りさせていただきますが、とりあえず手紙でお悔やみを申し上げます。
同封のご香典、ささやかではございますがご霊前にお供えくださいますようお願いいたします。
(例1)
このたびの○○ちゃんの御夭折を知り、申し上げる言葉もございません。
あの明るい笑顔を二度と見られないとは、いまだに信じられない思いでおります。
昨年の家族旅行の際には、私にも甘えて本当に可愛らしいと思いました。
お子様を失ったお悲しみお嘆きは、いかばかりでございましょう。
ただ今は、何を申し上げてお慰めしたらよいか言葉もありません。特に奥様のお悲しみについては察するに余りあるでしょう。
どうぞお役に立つことがありましたら、何なりとお申しつけ下さい。
喜んでお力にならせて頂きたいと存じます。
○○さん、残された△△君や奥様のためにも、一日も早くお立ち直り下さいますよう、
悲しみにお身体をお痛めになりませんよう、心からお祈り申し上げます。
(例2)
御令息○○様には、突然お亡くなりになられたとのお知らせをいただき、主人ともども茫然として、しばらくは言葉もでない状態でございました。
あれほどまでにおいつくしみお育てあそばされて、来春には小学校へ入学と、御一家そろって楽しみにしておられた矢先のこと、さだめし言葉に尽くせない悲しみにおありのことと、悲しくも深く拝察申しあげます。
いまはただ○○様の面影を涙のうちに思い浮かべるのみでこざいます。
この逆縁の御不幸に、あなた様には何を生きがいにして生きていったらよいのかと、思い悩まれているのでしょうか。
あまりの悲しみの上、お体でも損なわれましてはと気遣う次第でございます。
まだ将来のあるあなた様のことですから、どうかこの悲しみがつぐなわれる日もありましょう。今はひたすら○○様の御冥福をお祈りくださいますようお願い申し上げます。
なお同封のもの、些少ではございますが、どうぞ御霊前にお供え下さいませ。略儀ながら書中をもってお悔やみ申し上げげます。
(例)
お母様がお亡くなりになられ、すでに四十九日もすまされたとのお便りをいただき、
突然の事ゆえびっくりいたしました。
何も知らずにいてお見舞いにもうかがいませず、本当に申しわけない気持ちでいっぱいでございます。
さぞかし、お力落としのことと存じます。
お手紙にはお母様はご家族に囲まれ、眠るようなご最期だったとうかがい、そのことだけが慰めに思っています。お遅ればせながら謹んでお悔やみを申し上げます。
あらためて思い返しますと、お母様には何度もお手料理をご馳走になったり、また話相手になっていただいたのに、そのご恩返しも出来ないままになってしまいました。
いまはただ、あの頃のお姿をしのびつつご冥福を祈らせていただきます。
○○様には、おつらいでしょうが、ご健康にお気をつけてお過ごし下さいませ。
お母様も、何よりそれを願っておられることと思います。